83人にひとりが、子宮頸がんになる時代
難波美智代です。
子宮頸がんになる割合は、83人にひとりです。
毎月9日に行われている『女性からだ会議』。5月9日は、近藤一成先生(NTT東日本関東病院産婦人科医長)をお招きして、近年、子宮頸がんになる年齢層が若年齢化してきたといわれるなか、治療の現場や患者さんの現状などリアリティのあるお話を伺いました。
レポート第二弾は、事務局のリサちゃんです。
「中学1年生になった娘が、子宮頸がん予防ワクチンを打たなくてよいの?と聞いてきた。正直、知識不足で彼女にどう話してよいのか、接種をしたほうがよいのか、迷っている」。という意見や「2011年にテレビCMで子宮頸がんのことを知った。24歳の私にとって、料金は高かったけれども、病気にかかるよりは安いと感じおもいきってワクチン接種をしました。個人的にはまったく副反応もなくて、接種してよかったとおもっています」。など、男性も女性も様々な業界から参加者があつまりディスカッションも大変興味深いものとなりました。
恒例の映画「うまれる」のダイジェスト上映もおこないました。
近藤先生からのお話のなかで「これから結婚をしようとか、出産しようとか、バリバリ働こうとか、そんな世代に子宮頸がんになる女性が増えている。私を含め多くの産婦人科医たちは、彼女たちに子宮頸がんであることを伝えて、肩をおとして帰る後ろ姿を見るたびに、本当に悲しく切ない気持ちになる」とありました。
私は、病気になったら病院にいけばよい、ドクターが治してくれる、とおもっていました。そう考えるひとは多いとおもうのですが、その後の人生のリスクや、私たちの税金によって使われる医療費の問題、いつも混んでいて行きづらい病院、医師の過酷な働く環境など、いろいろなことを考えると、あたりまえのようですが「病気にならない」ように心がけることはとても重要だとおもいました。
独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター資料より
実際の治療では、がんの病期(ステージ)に応じて、がん細胞が子宮頸部の粘膜上皮にとどまっている状態の0期から、子宮のまわりの臓器や他の臓器にまで転移するIV期まで、段階によって分類されます。
0期のごく初期に発見できれば、子宮入り口の一部を切り取る手術(円錐切除術)だけで済み、妊娠も出産も可能です。Ⅰ期以降になると子宮の全摘出を行うようになり、II期では卵巣や卵管も含めて子宮をすべて取り除く手術(広汎(こうはん)子宮全摘)が必要になります。また、さらにがんが進行した場合、放射線治療や化学療法が行われます。
<治療ステップの目安>
◎ 0期〜Ⅰ期:円錐切除
◎ Ⅰ期〜Ⅱ期:子宮全摘・広汎子宮全摘
◎ Ⅱ期〜:広汎子宮全摘・放射線治療、化学療法
◎ Ⅲ期~Ⅳ期:放射線治療、化学療法
※病期(ステージ)は、がん検診の細胞診の結果ではありません。
また子宮頸がんには種類があり
・扁平上皮がん
・腺がん
腺がんは、検査では見つけずらい箇所に発症するため、進行した状態でみつけるケースが多いといいます。
講義では一部の匿名症例を紹介。細胞診といわれる一般的な子宮頸がん検診で問題のなかった30歳代なかばの女性(既婚)が、約半年後に不正出血で腺がんが見つかり子宮全摘出をしたケースがあったそうです。
女性は手術後、離婚。
その理由は、ご主人が子どもを諦められなかったことだったそうです。
子宮頸がんは誰がいつ発症してもおかしくない病気なのに、検診やワクチン接種のことについて考えて欲しい若い年齢層にはとくに、なかなか正しい情報が伝わらないという悲しい現実をお聞きしました。ワタシたちは、結婚、出産、仕事など、どのように生きるかを自分で選択することが出来るのに、無知や偏見でその選択肢を失ってしまうのは、本当に残念なことだと感じました。先生に子宮頸がんを患った方々のお話をお聞きして、苦しく、悲しくなりました。
女性たちは、美容やダイエットには興味津々ですし、からだへの関心がないわけではないと思います。でも、なぜか病気にならないためのケアは、お金も時間もかけないひとが多い。改めて考えてみたいと思ったのは「美は健康な身体があってこそ」だということです。この瞬間も、年齢をかさねてもずっといきいきとした美しい女性でいるためにも、そして子宮頸がんにならないように、勉強して伝えていきたいと思っています。
リサちゃんのレポートは次回も続きます!
w/luv!mie
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難波美智代が代表をつとめるシンクパールは、「婦人科系疾患の予防啓発」を目的に設立された一般社団法人です。女性たちが「検診にいきやすい環境づくり」を、このブログとFacebookページを通じて考えていきたいと思います。活動にご賛同いただける方はぜひいいね!をお願いします。